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2008.03.21

献身

本日は、私の所属している インプラントのスタディグループである「東京形成歯科研究会」のライブサージェリー(インプラントの公開手術)の為に 王子の奥寺先生のところへ行って来ました。

午後からの公開オペの患者さんは、なんと午前中に元気に講義を行っていらっしゃった 奥寺先生御自身でした。 

以前インプラントを埋入していた位置が審美的に問題があった為に 仮骨延長法(ディストラクション) という術式で骨の切断とメカニカルストレスを利用した骨移動、増生を行う手術でした。

骨は一定以上のメカニカルストレスを反復して受けると その形態を徐々に変化させます。 骨にメカニカルストレスを与えて骨増生、移動を行う考えは、矯正治療と同じです。

矯正治療の場合には、床矯正装置やワイヤーにより 歯槽骨にメカニカルストレスを与えると歯根膜から産生される様々な骨吸収因子によって 周囲歯槽骨の骨増生、移動が惹起されます。

インプラントのディストラクション時のメカニカルストレスプロセスは、特に床矯正治療のメカニカルストレスに似ていると言えるでしょう。 インプラントのディストラクションも床矯正装置のように患者さん自身が毎日スクリューを回し、骨を延長していくのですから。

ディストラクションは、非常にハードな手術です。大学病院並みの設備がないとなかなか手を出し辛いレベルのものです。

松田歯科クリニックでもメカニカルストレスを利用したインプラントの骨増生は今度行う予定ですが、ディストラクションは診療所レベルの設備では難しいかもしれません。

本日のライブサージェリーも難航を極めました。午後2時に始まったオペは、6時を過ぎても道半ばでありました。 

残念ながら私は 8時から用事があったものですから オペを執刀された先生、アシストの方々の頑張っている姿に対して非常に申し訳なく思いましたが、 健闘を祈りながら王子を後にすることにしました。

そして何よりも自ら患者となり 私達の技術向上の為に献身的な行為を行って頂いた奥寺先生には感謝すると共に 心より尊敬できる存在だと思った次第です。