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2008.01.26

顎関節症について

顎関節症で来院されるの患者様が、最近特にに増加しているように思います。そして其の殆どは若い女性の方です。

女性に顎関節症が発症し易い理由は、根本的に骨格、関節の靭帯が男性より弱いこと、神経が繊細でストレスが筋肉の緊張、障害として出易いこと などが考えられます。

女性と同様に 子供が顎関節症を訴えるケースも増えています。確かに 受験勉強、友人関係、親子関係など、子供が色々とストレスを抱えていることも事実でしょう。

顎関節症の原因は非常に多岐に亘ると考えられるので 原因解明、治療 共に簡単では無いのが実情です。難症例においては、整形外科的な治療、神経内科的な治療にまで及ぶ可能性も否定できません。

日本顎関節学会では、顎関節症の症状を ・筋肉の障害に因るもの、 ・間接包、靭帯の障害に因るもの、・間接円板の障害に因るもの、・変形性関節症など骨の変化に因るもの の4つに大きく分類しています。

最も多いものは、筋肉の障害、過緊張によるものです。

筋肉の過緊張(スパズム)は 血管収縮、血行不純を誘発し、筋肉性の痛みが生じることになります。これが筋肉の障害に因る顎関節症です。

歯の周りには、歯根膜という実にセンシティブな感覚受容器が存在していますので ちょっとして歯の噛み合わせの高さの違いも脳に伝達されます。ですから噛み合わせの高さが違ったまま放置しておくと 顎の筋肉はそれを避けようと歪んだ働きを慢性的にすることになり、そこに筋肉の過緊張が生じるのです。

筋肉の過緊張を緩和させるには、顎を安静位(筋肉をリラックスさせる顎の位置)にするに誘導させることが ファーストチョイスとなります。

私達 歯医者さんが最初にスプリントと呼ばれるマウスピース状のものを顎関節症の治療法として提案するのはそういう目的からです。 勿論 保険診療内で可能だからというのも大きな理由ですが。

有る程度 筋肉の過緊張が緩和できたならば 徐々に固定式のスプリントに変更して、歯列、筋肉の運動、顎関節の三者の調和のとれた理想的な咬合関係を構築していかなければなりません。

従いまして 理想的な咬合関係とは、歯の噛み合わせによって物理的に決定される咬頭嵌合位という咬合の位置と 筋肉や顎関節等によってバイオロジカルに決定される下顎位という咬合の位置を一致させることにあると認識しています。

顎関節症の治療は、少なくとも1~2年に及ぶ非常に根気の要るものです。様々な不定愁訴でとても辛い思いをされている方が多いことも十分に把握しています。

今後とも誠意をもって患者様の治療を心掛けると共に 更なる有意義な治療法の確立を心待ちにしているのです。